『家づくり』アカデミー・「本当に良い家」とは

日本の住宅に不可欠な「気密性能」だが、住宅メーカーが行わないワケ Part1

日本では昔から「高温多湿な気候だから、家には風通しのよさが必要」と、半ば常識のように考えらえてきました
しかし、「換気がスムーズでほこりがたまりにくく、新鮮な空気を取り込める家=隙間風が吹き込む家」ではありません
快適な住環境を維持するには、住宅の「高気密化」が不可欠です

「住宅の改正省エネルギー基準の解説」(財団法人 建築環境・省エネルギー機構)によると、『気密性を高めることが必要な理由は以下の4つ』とされています
①漏気負荷を減らし省エネルギー化と室内温度環境の快適性向上を図る
②壁体通気を抑制し、断熱性能の低下を防止する
③壁体内結露を防止する
④計画換気の性能保持

 

日本の住宅には「気密性能についての基準」がありません

十分な気密性能を確保することは、居住者の健康、快適性、省エネ、家の耐久性の維持といった観点から非常に重要となります
ところが、我が国の住宅の気密性能向上への取り組みは極めて遅れています
残念なことに、お客様が相当意識して住まいづくりを進めなければ、十分な気密性能を確保した家を実現することが難しいのが現状です

断熱性能は「UA値」という指標で示されますが、それに対して気密性能は「相当隙間面積:C値[cm²/m²]」という値で表されます。C値は、家全体の隙間面積を床面積で除した値で、値が小さいほど高気密であることを示します

たとえば、C値が1.0[cm²/m²]の場合、床面積1m²につき1cm²の隙間がどこかにあるということになりますし、床面積が40坪≒132m²の家の場合ですと、132cm²の隙間があるということになります
ハガキ1枚の面積が148cm²なので、この家の場合、全部で大体ハガキ1枚分程度の隙間があるということになります

 

         C値(相当隙間面積)

 

残念なことに、我が国の新築住宅は、どんなに隙間だらけでも、公的な基準がないので、一般的にはクレームの対象にはなりません
そのために、ほとんどのハウスメーカー・工務店は、残念ながらきちんとした気密性能を確保できていないのが現状です