『家づくり』アカデミー・「本当に良い家」とは
「パッシブ設計」とは?
「パッシブ設計」とは太陽光や太陽熱、通風といった、自然エネルギーを利用して心地よく暮らせる住まいをつくるための設計手法のことで、地域や敷地によっても違う条件を検討しながら、一年中快適に暮らすために色々な検討を行っていきます
【冬のパッシブ】
冬暖かい住まいを実現するには?
先ずは、建物から逃げる熱を極力抑えることが重要となります
そのために建物全体の断熱性能を高めること、また隙間を小さくして気密性を高めて家の保温性能を高めることが重要です
次に、できるだけ太陽の熱を採り入れることが大切です
一年を通してLDKに日射が期待できる敷地の場合、LDKの窓をなるべく大きく取り、遮熱ガラスを使わずクリアガラスにて日射熱を取り込むことで、昼間にエアコンの暖房をつけなくても部屋を暖かくします
一番長く過ごす時間の多いLDKの南面には、床面積の20%以上の開口部(窓)を設けましょう
【夏のパッシブ】
夏涼しい住まいを実現するには?
断熱性能の高い家は熱が逃げにくいといことが欠点にもなるため、冬と違い夏はできるだけ強い日差しを室内に入れない日射遮蔽が非常に効果的です
そのために庇や軒の出を深くしたり、シェードやブラインドを設置するなど日除け効果の高い工夫を窓まわりに設置することが重要となります
次に大切なのが、風を取り込む工夫です
家族が過ごす時間の長いLDKは全方位通風(どの方位から吹く風も取り込む工夫)を意識した窓の配置で風を取り込みます
【光のパッシブ】
自然光で明るい住まいを実現するには?
昼間に照明を点灯しなくても過ごせる明るい部屋をつくるポイントに、長く過ごす部屋には南面に大きな窓を設ける、廊下やホールなどにも1以上の窓を設置する、隣家が近い場合は吹き抜けや天窓を設けて光を落とす、どうしても窓を設置できないホール等の場合、ガラスや障子など光を通すドアを配置するなどの入った光を奥まで導く「導光」を考えます
ただし、たくさん窓を設ければ明るくなりますが、家の断熱性能が下がり、熱が逃げやすくなるため採光と熱のバランスをとることが非常に重要です
パッシブデザインにおいて、「何を設計するのか?」と言えば、主に次の4つの項目となります
◇断熱・気密
断熱性能を高めることは建物全体の保温性能を向上させ、様々なメリットを与えてくれます
このメリットはとても大きく、逆に一定の断熱性能が確保されないときのデメリットがとても大きいため、建物に一定以上の断熱性能を組み込むことが「パッシブ設計」のベースとなります
併せて断熱と共に重要なのが、気密性能となります
如何に断熱性能が良くても隙間だらけの家は、そこから冬の暖気や夏の冷気が逃げてしまいます
◇ 日射遮蔽
夏の暑い日差しを室内に入れないための日射遮へいは、夏期における快適と省エネを実現させるための基本となります
最近になって断熱性能はかなり注目されるようになってきましたが、日射遮へいについてはまだまだ理解や工夫が足らないように思います
とくに「断熱性能(保湿性能)を高めていくと、夏の室内が少しずつ熱くなっていく」という現象が起きるのですが、この問題を解消するには日射遮へいのデザインをしっかり考える事が非常に重要です
◇ 通風
通風のデザインを進めていくときのキーワードとして挙げられるのが、「卓越風向」「立体通風」「高窓」「ウィンドキャッチャー」などです
建物の中での風の流れを予測しながら窓の配置や大きさを考えることを基本に、こうしたキーワードを建物に組み込むことがポイントとなります
◇ 昼光利用
昼光利用のデザインが目指すのは、昼間に人工照明を点けなくても過ごせるようにすることであり、また自然光による快適な明るさを実現させることです
その時の基本は「昼間に長く過ごす部屋には南面になるべく大きな窓を設ける」「それ以外の部屋には少なくとも1面に窓を設ける」ということとなり、どうしても光の届かないと空間には、屋内のドアや壁にガラスやアクリル板を配置して導光してあげましょう
実施設計に於いてはCADソフトを活用して、建築予定地に建築予定の建物を立体配置して、Google mapsやストリートビューにて、建物の南、東、西面に隣接する建物を立体配置して、建築予定の建物にどの様な影が出来るかを確認して、建物形状の再検討や開口部(窓)の大きさや高さなどの配置計画を進めます