『家づくり』アカデミー・「失敗しない不動産」とは

空き家を放置していると固定資産税が6倍になる!?「特定空き家」に指定されるとリスクしかない!

日本のあちこちで指摘されている空き家問題
住んでいる近くにボロボロになった空き家がある、という人も少なくない数いるのではないでしょうか
空き家の中でも特に状態が悪く、周囲に悪影響を及ぼしかねない空き家が「特定空き家」です
「特定空き家」のリスクと、「特定空き家」認定を回避する方法をご説明します

 

 

1. 特定空き家とは
特定空き家とは、「すでに景観を著しく損なっている空き家」あるいは「そのまま放置すると倒壊の危険性があったり、衛生上有害となる恐れのある空き家」のことをいいます
今の状態だけでなく、将来のリスクが予見される空き家も含めて「特定空き家」であることがポイントです

2. 特定空き家の認定
空き家が行政によって「特定空き家」と認定されると、その後の扱いは大きく変わります
特定空き家に認定されるまでの流れとしては、特定空き家の状態にある空き家があったら、行政はその所有者に対し状況を説明します
あわせて所有者からも事情を聞くなどします
その結果、空き家の状態が改善されたり、適切に処分されることがただちに見込まれるようであれば、特定空き家としての認定には至りませんが、残念ながら改善が見込めないとなると、専門の委員等により審査・検討が行われ、それらを参考にして市町村長が特定空き家への「認定」を行います
特定空き家に認定されると、市町村長から所有者に対し、問題となっている部分の指摘、必要となる措置について「助言」または「指導」がなされます
これに対し速やかに従えば、特定空き家に該当する状態ではなくなるので、特定空き家の認定は解除されます

3. 特定空き家に認定されると
特定空き家に認定されると所有者には罰則にも似たデメリットが生じます
それは「固定資産税の住宅用地の特例」からの解除です
現在、住宅用地の固定資産税は200平米以下の部分に対しては評価額×1/6、200平米超の部分に対しては評価額×1/3へと軽減する措置がありますが、特定空き家に認定されると軽減はなくなるため、評価額がそのまま課税標準となるので税負担はアップします
指定された場合の固定資産税は、たとえば1平米あたり14万円の住宅用地90平米を所有していたとします。通常の軽減措置を得られた時の固定資産税額は以下のようになります。
{(90平米 × 14万円) × 1/6} × 1.4%(標準税率) = 29,400円
仮に特定空き家に認定され、特例を解除されてしまうと、税額は6倍になります
(90平米 × 14万円) × 1.4% = 176,400円
当然ですが、6倍も違ってきます

4. 具体的にどんな状態だったら「特定空き家」になる?
特定空き家に認定されると税制上、大きなデメリットが所有者にあることが分かりました
これから、どのような状態だと特定空き家に認定されるリスクがあるのかご説明します

①建物が倒れるリスクがある
「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」にあると、特定空き家とみなされます
建物が傾いていたり、基礎の部分に大きな損傷があったり、基礎と土台にずれが生じている場合などが該当します
屋根や外壁が剥がれ落ちそうな建物も保安上危険と判断される可能性があります
②地域の人に衛生上の悪影響を及ぼす
「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」にあると、特定空き家とみなされます
アスベストを使用していた箇所がむき出しになっていたり、浄化槽、排水設備等に問題があり臭気が漏れ出ていたりするような状態がこの項目に該当します
ゴミが散逸し、不法投棄の温床となっていたり、そのことで虫やネズミの発生をもたらしているときも同様です
③見た目が著しく悪い空き家

「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」にあると、特定空き家とみなされます
景観法に適合していない建物などが該当します
そのほか、建物に落書きなどが多数ありガラス窓も割られているような状態だったり、立木などが建物全体を無造作に覆い尽くしていたりする場合も、景観を損なっていると判断されるでしょう
④周辺の生活環境を乱すような状態
「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」にあると、特定空き家とみなされます
建物の状態のみならず立木が道路や他家の敷地の上にまでせり出していて、折れた枝が散乱している状態などがこれに該当します
そのほか野良猫やタヌキなどのねぐらになっていると、鳴き声の問題、糞尿の問題などから、特定空き家と認定される恐れがあります

5. 特定空き家に認定されないための対策
特定空き家に認定されないために、所有者がすべきこと、できることを考えてみます

①住む人を探す
住人がいればそこは空き家ではなくなります
当然、「特定空き家」に認定されることもありません
近しい間柄の人に貸すも良し、賃貸物件として借り手を募るのも良しです
②空き家を活用する
家の活用は「住まい」以外にもあります。店舗として貸し出したり、時間貸しのワークスペースとしたり。賃料収入を得ながら、建物の改善を図れれば、将来にわたる不安もかなり解消されるはずです
③解体する
状態のひどい建物を解体し、更地にしてしまう方法もあります
更地にすると「固定資産税の住宅用地の特例」は使えなくなってしまいますが、少なくとも近隣へ迷惑をかけることはなくなります
また更地のほうが売りやすくなります
④売却する
売却し、その家の所有者でなくなればこの問題からは解放されます
すでに状態のひどい家だと簡単には売却できないかもしれませんが、更地にしたり、不動産会社へ上物付きで買取を依頼したりと、何かしらの解決策が見つかるかもしれません

6. まとめ
今は「特定空き家」でなくても、その予備軍にある建物は少なくない数存在します
ひとたび「特定空き家」の領域に入ってしまうと、改善は待ったなしですし、打てる策も限られてしまいます
「特定空き家」に認定され、放置し続けると「固定資産税の住宅用地の特例」からの解除、さらには行政による代執行とその費用徴収へと進むこともあり得ます
このように「特定空き家」に認定されていいことはひとつもありません
認定を防ぐ、認定されてしまったら解除されるように改善を行うよう努めましょう

最近特に、『空き家問題』が問いただされていますが、地域の景観を損ねたり、物騒な状態を回避する為にも、空き家対策は必要かと思います