『家づくり』アカデミー・「家づくりにおいて⼤切なこと」とは
「少し足りない」「ちょっと少ない」が数年後、十数年後に大問題に!
工場で正確にカットされた部材に高度な技術力・施工力が必要ない工具の開発など、安心・安全な住まいづくりのため各住宅メーカー・工務店や建材メーカーの取り組みが続いています
しかしいまだに「欠陥住宅トラブル」についての報告は少なくありません
家の断熱性能は家の構造や使われている部材から計算できます
しかし、新築時に同じ部材が使われていても数年後、十数年後に断熱性能に「差」が出てくることがあります
断熱材にも様々な種類がありますが、例えばガラス素材から作られたグラスウール断熱材は、材料費も施工コストも安価で多くの住宅に取り入れられています
しかし、施工のときに断熱材と柱や梁に隙間があったり、断熱材を壁に打ち付けてとめる「タッカー」と呼ばれる大きなホッチキスの本数が少なく、自重や湿気で数年後に断熱材が偏ってしまったりすると、計算通りの断熱性を発揮することができません
「透湿防水シート」は、万が一屋根や外壁材の継ぎ目やコーキングの劣化などで隙間が発生したときに、家の内部に水が入ることを防ぐいわば「最後の守り」のような役目を果たします
隙間から雨が内側に入り込まないように防ぎつつ、湿気は透過させて家の湿度をコントロールする役割もあります
高気密高断熱住宅には欠かせない部材ですが、この透湿防水シート、当然ですが隙間なくピッチリと覆わなければ意味がありません
寸法が足りていないなどで「隙間」ができると、そこから家の内部まで雨水が浸透してしまいます
「あと1センチだったのに調湿防水シートのロールがなくなってしまった」、「高くて見えにくいところに貼るのを忘れていた」という事があれば、当然湿気やカビなどに悩まされる可能性が高くなります
透湿防水シートや断熱材を入れ終わった後、壁紙を貼る前に耐火ボードを取り付けます
柱にボードを打ち付けるときにビス止めをしますが、このビスの本数を少なくすればするほど、当然ですが作業は早く楽に終わります
微々たる額ではありますが、ビス代も浮くことになり、わかりやすい問題がすぐに出てくる箇所ではありませんが、耐火性能が下がってしまったり、ビスからヒビが発生してしまったりするリスクが高まります
なお、ボード工事では、各メーカーからビス間隔を指定されていることがほとんどです
さび止めや下地塗りなどは、ほとんどの場合複数回塗装を重ねます
この時、塗り忘れた箇所があれば一部だけ色の薄いところがでてきます
塗り壁の最終仕上げのような「美しさ」を必要とするものではありませんが、塗りむらがあればその分効果が損なわれてしまう可能性があります
家づくりの見えないところから常に丁寧に扱い、傷をつけないように配慮する姿勢の表れが養生です
ビニールシートを使って保護するひと手間をきちんとかけない現場では、これまで紹介したような本当の『欠陥』につながる手抜きが発生しがちです
どんなに最先端の部材や道具を使っても、最終的に施工をするのは「人」です
決められた工程をきちんと確認し、丁寧に作業することの積み重ねが「欠陥のない家」をつくります
難しさのない『基本の作業』で手を抜くということは、他にもいろいろなところで手を抜いている可能性が高いということではないでしょうか
以上の様な事が起きてしまう大きな原因としては、家づくりの要である大工を含めた下請け業社さんの賃金に起因すると思います
ローコストメーカーさんの外注大工さんや協力業社さんは賃金が低い為、例えば大工が新築住宅の木工事を100万円で請け負うとした場合、1ヶ月で終われば月給100万円、2ヶ月掛かれば月給50万円、3ヶ月掛かってしまうと月給33.3万円になってしまいます
本来完璧な仕事をしたいと思っても、より多くの収入が欲しいので、早く早く終わらせようとする為、手抜き工事が発生してしまいます
私は、「手を抜く」という言い方もありますが、『ひと手間が掛けられない』という言い方もできるかなと思います
そう言う意味では、弊社の大工は社員ですので、月給制の為、時間に追われる事はなく、しっかりとひと手間を掛ける事ができます
そして弊社では上記にも書かせていただいた、「断熱材」や「外装下地」が問題なく施工されているかを、第三者の日本住宅保証検査機構(JIO)にて、『断熱材検査』と『外装下地検査』を行なってもらい、確認しております